「ＪＵＮＥ」とか「やおい」とか「ＢＯＹＳ　ＬＯＶＥ」とかあって、微妙に使い分けされるらしいが、知らない人に説明するには「男同士のラブストーリー」でいいかと思う。

（つまりこのページでは、男同士でいちゃいちゃしたり××したりする小説があるので、苦手な方はご遠慮ください）

さて、一般的な意味もわからずに「ＪＵＮＥ」を名乗るわけだが、私には私なりの「ＪＵＮＥ」がある。

出典は、男同士のラブストーリーの先駆け雑誌「小説ＪＵＮＥ」である。

昨今では一つのジャンルとして認知され、雑誌も何種類もあるが、当時は「ＪＵＮＥ」一誌きりであった。（厳密には、「小ＪＵＮＥ」と「大ＪＵＮＥ」とがあった）

最初の（というか表向きの）目当ては「ＳＴＯＰ劉備くん！」（「小説ＪＵＮＥ連載中」の三国志４コマ漫画）であったが、「男同士のラブストーリー」に興味がなかったと言えば嘘になる。何故「男女のラブストーリー」ではなく「男同士」なのか、明確な理由はなかったが、むしろ興味が高かったのは事実だ。

「アニパロ」と言われるジャンルでは、「好きなキャラクターを他の女に取られたくないから、男同士で絡ませる」という意見もあるようだったが、アニパロではむしろ「ノーマルカップル」が好きだった。（絵梨衣ちゃんとかすごい好きだったし……って聖闘士☆矢ファンでも憶えていないようなキャラ；）大体、嫉妬するくらいなら絡ませる必然性はない。

何というか、別なのである。男性で、「女同士のほうが興奮する！」という人はそう多くないかも知れないが、女性は間違いなく「男同士のほうが興奮する！」人が大勢いるのである。（少なくとも、一大ジャンルとして成立するくらい）何だろうなあ、と思うが、このへんの謎はまたの議論で。（そもそも論点がダブっているのだよ）

そこで、すごい作品に出会った。須和雪里さんの「サミア」という作品だ。

ストーリーは、宇宙からの生命体が人間の男の子（しかも金髪美形）の姿で現れ、日本人の男の子と出会い、悲しい別れをする。

形としては男同士だが、実体は宇宙人。もはや男だの女だのという次元の問題ではない。そこには恋だの愛だのという与えられた形すらない。そのときその場にいるだけの存在として、お互いに惹かれ合い、過ぎていく、一瞬の心だけが真実なのだ。

人を好きになるとき、そこにあるのは、ただ感情だけのはずである。自己のうちにありながら正体も由来もわからず、制御することすらできない、しかし過ぎてしまえばそれだけの。後から言葉で説明することはできるかもしれないが、生（なま）の感情はそんなものではない。

生の感情はもっと……ここで私は言葉に詰まる。感情なんて、言葉で簡単に説明できるものではない。理論だけで人の感情が動かせるはずもない。

「サミア」や私が読んでいた頃のＪＵＮＥには、必ずしも「男同士がどうのこうの」ではなく、従来の「男女の一般的な恋愛」から外れた作品が掲載されていた。女同士もあったし、当時の若い女の子が一般誌では読めないようなＳＭや、ホラー（バンパイアとか）も扱っていた。共通してあったのは、形に囚われない「想い」で、読み終わった後に残るのはせつなさ、まるで心を傷つけられたような。

起承転結があって、感動があるのではない。鋭利な刃物を感情に直接つきつけられるかのような、独特の瞬間。私にとってはそれが「ＪＵＮＥ」だった。

まったく個人的な趣味だが、昨今の、男同士でエッチして、下手すりゃオカズ？になって、ハッピーエンドで、読後はすっきり爽快！という傾向は、私の中の「ＪＵＮＥ」とは別物なのである。しかし哀しいかな、エンターテイメント性の薄い、エッチなんか二の次、こういう「ＪＵＮＥ」は死滅しつつある気がする。

以上が、一般の定義とはおそらく随分離れてしまった、このページにおける「ＪＵＮＥ」の定義である。