フォンテーヌは小ぢんまりした劇場ですが、ステージには高さがあってバルコニー付き、階段に並べた客席は見やすく、音響も聞きやすい空間でした。ステージと客席が溶け合う距離感もイイ。構成もコンパクトに、休憩なし90分。人気のポップス（今時っぽいダンスつき！）から始まり、卒業をテーマにした曲（客席参加コーラスあり）、フォーリーズの創設者であるいずみたくさんの曲、駒田さんが大好きな曲の数々。コーラスを支えるのは、おなじみのキーボード・吉田さとるさんと、ベース、ドラムのたった三人が奏でる多彩な音色。

　感想を一言で言うなら、とにかくコーラスが美しい！　個人的には駒田さんのファンですから、駒田さんの歌声を聴いてナンボのはずなんですが、掛け値なしにどの曲も大変素晴らしかったです。駒田さんが「コーラスっていい。単純に1＋1=2じゃなくて、それ以上になる」というようなコメントをされたのですが、まさにその通り。ソロを大人数分聞くのとは違う、もっと豊かで多彩なハーモニーにうっとりしました。

　またフォーリーズのメンバーは、普段子供向けミュージカル等をされることもあり、発声が正統派。歌のおにいさん、おねえさん路線というか、発音に変な癖がなく、澄んで美しく響き渡る。とくに女声はその高音の美しさは心洗われ、涙腺に来ます。個人的に王子菜摘子さんの高音がドツボで、その美しさに涙があふれてしまいました。新人さんたちも基本がきちんとしているので、どの場面も安心して歌に没頭できるのが素晴らしい。（最近、大劇場でも歌にハラハラすることが多いもので）

　そんなハーモニーの素晴らしさを堪能できる曲がアイネ・クライネ・ナハトムジークのアカペラ。人の声だけで、オーケストラの豊かな音色を表現、毎回実に見事だと感服します。途中でカノンが混ざるあたりのカタルシスは鳥肌もの。ハーモニーで体が気持ちよくなるって凄い経験です。

　ちなみに、いずみ先生の形見のタクトを振ったのは、駒田さん。客席にお尻を向けるのですが、今回の衣装は短めのジャケットで、動くたびに筋肉のラインがよく見えました。駒田さんのお顔が見えない分、尻を見とけというサービスだと理解して、久々に堪能させていただきました。（コラッ）

　ハーモニーの美しさは、同じ劇団でいずみ先生の教えを継いでいることの他に、メンバーの仲がいいことも理由だと思います。ゲスト出演の井上一馬さんと駒田さんの仲がいいのは周知ですが（ちなみに千秋楽ではこづきあいからにらみ合い、チュー寸前の腐サービスオチ・ケンカコントあり）、バンドメンバーや、一見年代バラバラなコーラスメンバーたちとも、客席から見てもすっごく楽しそうな和気藹々の空気が感じられます。「飲み会まで含めてはじめライブです」という座長の言葉通り、頻繁に飲みに行ってたそうで、メンバー挨拶の「駒田さん飲み会ネタ」の多かったこと（笑）

　また千秋楽では新人さんたちからのメッセージで「ＴＤＶが大好きで、出演している駒田さんが好きで、来年12月いっぱい通います」「上京して初めて見たミュージカルがレ・ミゼラブルで、テナルディエ役の駒田さんを見てスゴイ役者さんがいると思いました」「駒田さん大好き！」と次々告白。駒田さん、照れて真っ赤になって、でもうれしそうでした。こんな後輩たち、そりゃ可愛くて仕方ないだろうな〜。

　ライブの打ち上げでは、日付が変わったところでサプライズの誕生日祝いもあったとのこと。家族みたいなあったかいおつきあいのメンバーだから、ハーモニーも温かく魅力的に響くのでしょう。

　とまあ、こんな感じで、二年に一度と言わず、毎年でも通いたいライブです。大劇場で倍くらいのチケット代を払っても、ここまで聴き応えがあって楽しめる歌声にはなかなか出会えないこの頃、さらに何より駒田さんが楽しそうなライブ、次回開催に大いに期待いたします！