タイトルのＭＨＫライブは、出演者３人のイニシャルを取ったもの。宮川浩さんのＭと、畠中洋さんのＨ、駒田一さんのＫ。昔からのつきあいで、今年は「タンビエットの唄」で共演した仲良しトリオは息ピッタリ。進行＆声の出演の川本昭彦さんも加えて、大変楽しそうなメンバーでした。

　久しぶりの駒田さんのライブ！ということもあって、ファンとしても超楽しみ。……のはずが、日程が私にとっては強行軍で。オタクの祭典の本命ジャンルの日の夕方だったんですね。朝七時に家を出て、有明で海風に吹かれながら行列して、歩き回って本を買い漁って、渋谷に移動して、ちょっと時間を潰してから、ライブハウスの外に行列……中に入って仰天、椅子は前列にちょっとだけで、スタンディングでした。ファンの年齢層的に、スタンディングはないと思っていたんだけどなあ；　体力的には相当しんどい一日でした。

　逆に会場の狭さを生かして？お見送りはもちろん、お出迎えから始まる、出演者と客席の距離の近いライブではありました。

　ライブハウスの外で凍えながら行列をしていたら「随分いっぱい並んでるなあ！」の大声。どこの酔っ払いに絡まれたのかと思いきや、駒田さんでした。列の先頭から順番に受付する間、出演者三人が入口横に立ってお出迎え「写真もＯＫ」とのこと、待ち時間に撮影タイム。暗くて撮れないので何度もシャッターを押す間、変顔してくれたり「フラッシュなしで撮れてんの？」とツッコんだり大サービス。衣装にコートなしでは寒かったと思うんですが。

　しかも途中で「ちょっと通して」と狭い階段を客とすれ違いながら会場入りし、何故かスタンディングスペースにしばらく立っていた駒田さん。えっと、そんなところにいらしたら客は緊張するんですがっ。ケープつきのロリコートで行った私は、ジロジロ見られて軽く威嚇されました（笑）客がどんどん増える中、駒田さんも奥に引っ込み、どうにかこうにか自分の立ち位置を確保。

　始まってしまえば、楽しくてあっという間に時が過ぎていきます。川本さんのアナウンスで始まり、舞台はとある警備会社の警備員の採用面接会場に。

　名前の呼び間違いネタで、呼ばれて入ってきた三人は、二十五年後の未来の設定。白髪混じりの老けメイクに爺さんしゃべり、衣装も高齢者風。控え室で偶然顔を合わせた三人は、実は旧知の再会。事業仕分けでミュージカルの仕事が減り、三人とも職がない状態とか。面接を待つ間、三人でもう一度一花咲かせたいと盛り上がったり、喧嘩したり、そこにミュージカルの歌を散りばめてライブは進行します。宮川さんの脚本とのこと、笑えるし引き込まれるし、面白かったです。

　いざ歌い出したら、さすがに三人とも歌がうまい！　ミュージカル俳優さんに向かって「うまい」ってのも失礼な言い草ですが、歌がうまくないミュージカルにも慣れてしまったこの頃なので……何かもう、それだけで感動。しかも小さな会場だけに、生声がビンビン響く。ああ、この下腹に響く駒田さんの声にやられてファンになったんだよなぁとしみじみ思い返したり。

　それぞれの出演作を思い返す形で、ミュージカルの名曲を何曲か。また駒田さんのサンチョを聞けたのがすごくうれしかったです。それに二役でキホーテも。喧嘩中のセリフ「何でもう」がワンデイモアになっちゃうとかも印象的。あと川本さんが加わってのタンビエットの唄は舞台を思い出して泣きそうに。脚本はドタバタコメディでも、歌い出したら途端にマジなのが凄い。

　一番のハイライトは、このライブのために宮川さんが作ったという歌。同じ歌詞同じコードながら、三人が微妙に違うメロディでソロを歌い、合わせてみると見事なハーモニーになる仕掛け。一人ずつで歌ってもそれぞれに異なる味わいで聞かせるのですが、三人合わせると、足し算ではなく掛け算的に威力が増すのがというのがニクイ。これがまたそれぞれの声の魅力を生かす、いい歌なんですよねえ。

　演奏時間は一時間半くらいでしたでしょうか。一気にやりきって、すぐにまた二回目の公演が始まります。いったん会場の外へ出た客は、ほとんどが二回続けて見るので、すぐにまた行列。

　二回目もやっぱりお出迎えから始まって、脚本はほとんど変わらず、ただ「二日オチ」的なアドリブが次々と。一回目には駒田さんのマイクが入らないトラブルなどありましたが、二回目では「歌詞を忘れた！」で演奏を止めたり、ツッコミが入らず予定外の曲を歌わせられたりした宮川さんが大活躍。（公演の合間にワインという名のガソリンが入ったという噂が？）二回目の客もキッチリ楽しませてくれました。

　演出上、三人とも老けメイクだったのがちょーっと残念ですが、それぞれの魅力をたっぷり楽しめるライブでしたね。息の合ったメンバーでリラックスしつつ、手加減なしに本気の力をぶつけあって、凄いパワーでした。年末をこういうイベントで締めくくれるのはファンとしては本当に幸せ！　至福のひと時をありがとうございましたvv　また来年もぜひ〜と願う次第でございます。