実際に見るまでは正直なところ、立ったまま歌を歌うだけで、あちこちカットもされるし、本舞台方式ほどは感動しないだろうなーと、ナメてかかっておりました。

　が、実際に初日の幕が開いてみれば。岩崎宏美ファンティーヌに泣かされて、以降泣きっぱなし。大きな振りつきの芝居がなくてもどっぷり感情移入でき、コンサートならではの演出にも心動かされ、感情の起伏の緩急はむしろ３時間半の本舞台より、２時間半のコンサートの方が大きかったかもしれません。

　さて、前置きはこのくらいにしまして。既に本舞台で濃ゆい感想を書いているので、今回は以下印象に残った役者やシーンについてざざーっと書き散らすことにします。

●テナルディエ

　だから何で主役より先にこっちなんだと言われそうですが（笑）何と言ってもテナルディエ役の駒田一さんから。っつか、レミコンよりも駒田さんの方が目当てだったんだろと訊かれれば、ハイそーですと答えるミーハーなのですが、今回はまさに本領発揮の独壇場でした。

　宿屋の場面でテナルディエとして登場して、マイクの前に立ち、左右にちょっとお辞儀をするだけでもう客席から拍手が。暗い場面や悲しい場面ばかりのレ・ミゼラブルで、宿屋は数少ない観客もほっとくつろぎ、くすっと笑える場面。その宿屋のマスターの登場ということで、客席の空気が変わる瞬間でした。客席は期待を込めて、手拍子開始。本公演でも宿屋の場面は、手拍子などで参加できると楽しいんですよね〜。

　歌は、本舞台のときとほぼ同じ。振りをつけ、客に向かって満面の愛想笑いをしながら、腹の底では馬鹿にしていたり毒づいていたり。いや、表情は本舞台よりむしろ凄みが増していたかもしれません。帝劇公演より博多座公演の方が目つきがより怖くなっていたように、博多座公演よりレミコン。そしてレミコンのさらにスゴイところは、役者の顔をアップで映すスクリーンがついているところ。舞台を見ると満面の笑みなのに、スクリーンを見ると目が笑っていない！　うわあ、怖い、怖いよう、でもその怖さが素敵、痺れる〜！でございました。（いつもながらアホなコメントですみません）

　うわあ、やっぱり凄いなあ〜と思っていたら、間奏では指揮者にちょっかいをかけはじめる。テナルディエが勝手に指揮をして、本物の指揮者がいじけて座っちゃったりとか、コンサートならではのお遊び。

　それだけでも楽しいのに、次には何と舞台を飛び降りる。客席一階の前方ブロックをぐるーっと駆け抜けて、また舞台へ。残念ながら私は駆け抜け席には当たらなかったのですが、客席のお客さんとハイタッチをしたり、子供を抱き上げたりしていたようです。ギリギリでマイクに戻って歌った後、肩で息をしていらっしゃいました。日によっては、靴が脱げたり、お客さんの鞄を強奪しようとして抵抗されたりのトラブルで、歌までにマイクに戻れなかったりしたこともあり。いやいや、歌の合間にあれだけ走るなんてお疲れさまでございました。宿屋のシーンに関して言えば、本公演より体力使ったでしょうねえ。

　宿屋のシーンの小ネタと言えば、夫人が歌う「イ○ポ」疑惑。本公演ではテナルディエは裏でまかないをしているので聞いていないのですが、コンサートでは横で聞いてしまっている。で、何かリアクションをしなければのテナルディエ。

　ハンカチを取り出して丸めた先を立て「見えない糸に引っ張られる手品」でクイクイ動かしてみたり、斜めの角度がついているスタンドマイクを片端から真っ直ぐに立ててみたり（笑）メチャクチャおかしかったです。下ネタに反応してゲラゲラ笑うのもどうかなーと思いながら、笑っちゃいまいした。

　続く取引の場面では、相変わらずのサル芝居。まったく可愛い悪党たちです。夫妻の不協和音的ハーモニーも絶妙に響きわたり、迫力でした。

　結婚式の場面では、新郎新婦が全然出てこないにも関わらず（笑）テナルディエ夫妻で満足してしまいましたし。宴会乞食の白塗りメイクが控えめなのもファンにはうれしいところでしたね〜。へたくそなダンスのターンで、遠くに飛んでいってしまったり、床に転がったりする夫人も可愛いし。何だかテナルディエ夫妻は本公演よりも愛しく感じるんですよね。役者が駒田さんだから、というのも越えて。いや、それこそ駒田一という役者の魅力なのかもしれませんが、とにかくテナ夫妻が憎たらしくて愛しい。

　コンサートのテナルディエ、とにかく面白過ぎです。海外レミの１０周年記念ＤＶＤで、テナルディエ夫妻が出てくると凄い拍手が起きていて、意外そんなに人気なんだ〜と思っていたのですが、駒田さんのレミコン・テナルディエを見てナルホドと思いましたよ。とにかく、悲哀一辺倒になりがちなレミに緩急を作り、客席をほっとくつろがせ、笑わせる唯一の役回り。役としてはイヤなヤツなのですが、大好き！としみじみ思いました。

　そのくせ、下水道の場面ではバッチリ怖い。神への絶望とあきらめと、生きることへの執着と悪事への居直りと。駒田テナルディエはどこまでもテナルディエでした。

●ファティーヌ

　今回、何が何でも聴きたかったのが、岩崎宏美さんのファンティーヌでした。

　私がまだ小学生くらいの頃でしょうか、紅白歌合戦で岩崎宏美さんが「夢破れて」を歌ったことがありました。当時の私はレミはおろか、ミュージカルというものすらろくろく認識していませんでしたが、何故かこの歌には心打たれ、たまたまテレビ音声を個人的にテープに録っていたので、繰り返し聴いたものでした。当時は訳詞が微妙に違っていたのを憶えています。

　しかしよくよく歌詞を聴いてみると最後まで救いがない。絶望のままに終わるので、どうしてこの歌はこんなところで終わるのか、このひとはいったいどうなっちゃうんだ、きっとこの後に幸せなオチがあるはず（紅白で聴いた他の歌謡曲は、何らかのオチがついていましたので）、と続きが気になっていました。その後ン年もしてから観劇の趣味を持つようになるも、小劇場系のストレートプレイばかり。駒田さんのレミゼ出演でようやく「あ、この歌だ！」知りたかった結末に出会えたのでした。結末は……もし私が子供のあの頃に聴いていたら、救いとは思えなかったかもしれませんね。大人になってから観てよかったのかもしれません。（ちなみに高校生の頃にＮＹでレミゼを観たときは、時差のため爆睡していたので、まったくファンティーヌの記憶がありません／恥）

　そして、新生レミゼを観ても、耳に残っていたのは岩崎宏美さんの歌声。当時のテープなんてもうどこへ行ってしまったかもわかりませんが、耳の奥にはまだぼんやり残っていたのです。ああ、もう一度聴きたい、と思いつつ、迎えられたのが今回のコンサート。

　そりゃもう、初日からポロポロ泣いてしまいました。凛とした気品を漂わせた岩崎ファンティーヌは、本公演で観た三人の役作りとはまた異なり、星降るような歌声は深々と胸に響きました。とくに聴きたかった、岩崎さんの声でのコゼットに出会う夢の歌は胸に痛くて痛くて。コンサートならではの演出で、リトルコゼットが歌っている後ろをファンティーヌが白いドレスで静かに退場していく場面でも、歩き方というか存在感が母親らしく、神々しく、大好きでした。

　そしてファンティーヌと言えば、今回もう一人、マルシアさんのファンティーヌが素晴らしかったです。

　本公演で観たときには、かなり強い女性の役作りをしていらしたように思います。他の高橋さんにしても、依料さんにしても、程度の差はあれ、生きている女のある種の能動的な情熱を表現していたように感じます。

　ところが私の印象では、ファンティーヌはむしろ弱い、若さ故の誘惑と恋情に流され、遊び男に弄ばれ、世間の風評に虐げられ、髪を売り、歯を売り、体を売り、心はとうに死んだまま、ある意味で殉教者的な受け身の女性という印象でした。強い部分があるとすれば、世の辛酸をさんざんに舐めながら、決して帰らぬ男を待ち、テナルディエを信じ、遠く離れた娘のコゼットを想い、神への信仰を忘れなかったという、まるで浮き世を知らぬ少女のような純粋さだけ。

　そんなはかない風情が、今回のマルシアさんからは感じられました。今回、岩崎さんの歌を聴いて影響を受けたのかな？とも思ったのですが、岩崎さんともまた違う感じ。ただただ流されて墜ちていくしかできない無力な彼女があまりに不憫で、それまで衝撃にしか感じなかった「抱いてる女は死んでるわ」の歌詞に、彼女の心情を痛いほどに感じて、涙が出てしまったほどです。

　決定的に違うな、と感じたのは、バマダモアにひどい扱いをされて反撃するときの「娼婦だってドブネズミと寝ないわ」の歌い方。相手に叩きつけるように怒鳴るのではなく、自らを娼婦と自嘲するのでもなく、娼婦にも非道に抵抗するだけの尊厳を残してください、という神への悲しい祈りが、悲鳴として漏れたように感じました。

　弱く、流されるだけでありながら、少女のような純粋さを最期まで失わなかったファンティーヌ。だからこそ彼女は、バルジャンにとって聖なる女性で、ミュージカルのエンディングでバルジャンを召しに来る存在たりうる。（原作ではそんな描写はありませんが）そういう意味で、まさに私の見たかったファンティーヌでした。

●リトル・コゼットとガブローシュ

　ファンティーヌが出てきたところで、リトルコゼット。本公演では「子役ちゃんが歌う」とドキドキ見守っていた節もあったのですが、今回はそんなドキドキ感はまったくなし。どっしり安心して、どころか、すっかり聴き入ってしまいました。歌いながらしっかり演技もして、今回とても見応えのあるシーンの一つでした。

　バルジャンと二人で森を歩く場面がなかったのが残念。あの曲、好きなので。

　と、もう一人今回印象に残ったアンサンブル。ガブローシュ役の坪田さん。成人女性なのに、博多公演くらいから「少年にしか見えない」と思っていましたが、もはやガブローシュ以外の何者にも見えない。可愛い少年というより、パリの貧民街に生きるストリートキッズそのもの。

　まずありえないんでしょうが、この方なら十年後も二十年後もガブローシュをやっていそうな気がします。最大の見せ場のカバン投げはありませんでしたが、それでも印象的に深く残ったガブローシュでした。

●アンジョルラス

　さて次、誰だろう？と思ったときに浮かんだのが、何故かアンジョルラスでした。私はどちらかと言うと原作のアンジョルラスの大ファンで、ミュージカルのアンジョルラスにはそれほどの思い入れがありませんでした。せいぜいマリウスの対として、くらいの位置づけで。

　だってミュージカルの脚本のアンジョルラスは、マリウスに構い過ぎる、負傷者を身を盾にしてかばう、バリケードのカリスマのくせに真っ先に死にやがる、と私のアンジョルラス像とはあまりにも違うんですもの。私が求めているアンジョルラスは、もっと他人に対してクールで、去る者追わず来る者拒まず（しかも女王様名受け入れ方）、戦地にあっては常に冷静沈着な指揮官、指揮官が倒れたら軍が総崩れになることをよくわきまえています。だから、危険な任務はあえて他人にさせるくらい、冷淡な部分もあり。彼が熱くなるのは、ただ祖国のことだけなのです。そういう意味で、ミュージカルのアンジョルラスは似て非なる者、くらいに冷静に見ていたのでした。

　本公演から好きだった吉野圭吾さんのアンジョルラスは、今回改めて好きと確認。それこそ原作のアンジョとは別人格なのですが、祖国に傾ける想いの熱さというか、常にこめかみに血管が浮いていそうな暑苦しさというか、恋ボケしているマリウスを大まじめに説教する青臭さとかが、無性に可愛いのです。

　私が好きな岡田さんマリウスのぽよよんとした雰囲気とうまく釣り合いが取れていて、味わいあるなあ、と噛みしめて参りました。（ええ、吉野岡田コンビが観たくて一回しかない回のチケットを取りましたとも）

　そして噂で聞いていた岡幸二郎さんのアンジョルラス。ＣＤで聴いたとおりの美声、抜群の歌唱力、背筋から指先まで洗練された身のこなし。美しく目を引きました。原作とはやっぱりキャラが違いますが、目の保養でした。

　しかし。テナ、ファンテの次にアンジョルラスを思いつくほど、私が反応したのは、実は東京楽の一回しか見ていない今拓也さんのアンジョルラスでした。

　まず、原作とは全然違います。原作の冷静な策士といった雰囲気とはむしろ正反対の、オープンマインドで陽性の熱血兄ちゃん。歌唱力はさすがですが、声質もむしろ、アンジョルラスで想像しがちな透明感ある硬質な声というより、絹ごしやわらか系。髪型や衣装の着こなしも、美しさよりも熱血兄ちゃん風を優先。熱血兄ちゃん系と言えば坂本健児さんのアンジョルラス（ただし今回は未見）もそうですが、彼ともまた雰囲気が違います。何というのか、存在自体が太陽のように明るい。ジャベール役でしか知らなかった私にとっては、この明るさは驚きでした。

　何と言ってもやられたのが、「レッドアンドブラック」だったかな？の後に「フランスに自由を！」と叫ぶ場面。他のアンジョルラスでは、キャラクター的に絶対に合いません。場面的にも、やり方によっては浮きます。それが、今さんのアンジョルラスは、力強く輝く太陽のようなキャラクターと、その太陽を中心に集う学生たちの熱気、ソフトな声とタイミングが相まって、自然に観客も「そう来なくちゃ」と感じるほど爽快な響きになるのです。

　グランテールとの関係も、男らしい友情で素敵。岡アンジョルラスのように冷たく突き放すのではなく、吉野アンジョルラスのように侮蔑を露わにするのでもなく、グランテールの懐疑的な物言いを否定はしますが、きちんと理解して受け止めている。戦闘準備の合間には「グランテール！　酒を置け」見もせずに怒鳴るので、いつも合いの手のように叱ってるんだろうなあと思ったり、「死など無駄じゃないか」と言うグランテールを正面から睨みながらも、グランテールの方から目をそらすと、フォローしようとわずかに手を上げる。結局この手はグランテールには届かず、宙をさまよったままになるのですが、原作の、来る者拒まず去る者追わずで、グランテールにもやりたいようにやらせて静観していながら、一緒に死にたいと言う最期の願いは手を差し延べて受け入れたアンジョルラスの手を思い出させました。（いや、かなり夢見過ぎですが）

　そしてマリウスとの関係も、どちらかというとone of themで、特別扱いしたり、変に甘やかしすぎないところが素敵でした。エポニーヌの死にショックを受けるマリウスを慰めるときも、ウェットな感情移入はせず、男らしく頭を揺さぶる感じ。

　そして舞台と関係なく何だか惚れてしまったのは、カーテンコールで民衆の歌を歌いながら、リズムに合わせて歌詞スクリーンや客席をビシ！ビシ！と指さす仕草。ジャベールのときにも警棒さばきが美しいと評判になった今さんですが、こういう手先が妙に美しくて目を引くんですよね。表情はどちらかと言うとヤンチャ系に笑っていて楽しそうでしたし。うわ、今さんて若い〜と思ったら、目を離せなくなった一時でした。

　総括。何か知らんが今さんのアンジョルラスは理屈抜きに男前で魅力的。結局一回しか見られていないんですけど、年末にあと一回は見たいなあ。

●マリウス

　マリウス役については、本公演ですっかり岡田浩暉さんが私のデフォルトにして理想になってしまいましたので、今回のコンサートでもも岡田さんが一番でした。表現力豊かな伸びのある歌声で、コゼットに夢中なところが可愛いし、レミゼの他の登場人物の分までこのマリウスには幸せになって欲しいと本気で思えましたし。今回は、髪がさっぱり短めになって、本公演にもまして若々しくハンサムでございました♪　剣持たまきさんコゼットとは聴かせて泣かせ、河野由佳さんコゼットとはその可愛らしさで魅了してくれました。マリコゼが可愛ければ、それだけで相当幸せな私。

　そして、意外な伏兵は石川禅さんのマリウス。「砂の戦士たち」でペドロ役を見ていた私は、失礼ながらどちらかというと苦手だと思っていた役者さんでした。ところが、今回のマリウスは好感度抜群でした！

　見た目も若いし、歌声も若いし、表情が若い。中でも「君を困らせた」で見せる、君を困らせてしまったどうしよう、どうか怖がらないで嫌わないで、でも君から目を離したくない、がいっぺんに詰まった表情は絶品。堅物だったマリウスが急転直下の恋に落ちたらしい、あどけないほどの表情は、他のどのマリウス役者よりも好きでした。そしてその若さのまま、歌・芝居の表現力はさすがのベテラン。彼独特の真正面からの熱さも、マリウスにはぴたりハマっていました。

　マリウスの役って、実年齢にこだわらずいろいろな人に演じてもらうといいのかもしれません。

●エポニーヌ

　本公演でも、僅差でＡＮＺＡさんのエポニーヌが好きでしたが、今回のコンサートではさらに好きになりました。とくに「オンマイオウン」コンサートで聴いたＡＮＺＡさんの歌が、間違いなくこれまでに聴いた中で一番でした。

　もともと声質が好みでもありましたが、今回は実に巧くそのハスキーボイスを使っていました。低音部や、声を張るところではパンチの効いたハスキーボイスを響かせ、ふっと抜くところで可愛らしい声になる。ラスト近くの「愛してる」は胸にキュンと突き刺さる切なさ。それに、彼女のエポニーヌの片想いの解釈と私のエポニーヌ像が近いのかもしれません。歌い方一つ、感情の込め方一つにも、ぴたり共感できましたから。

　今回はとにかく、マルシアさんの「夢やぶれて」とＡＮＺＡさんの「オンマイオウン」この二つのナンバーが「聴いたー！」という聴き応えをくれたものでした。

●ジャベール

　コンサートのすごいところ、伝説の？鹿賀タケシさんのジャベールを聴くことができました。たしかに迫力です。解釈の難しいジャベールという人物を、変にひねらず無理なく等身大に演じていました。

　でもやっぱり好きなのは、岡幸二郎さんのジャベール。本公演での刷込効果でしょう、優美で繊細で俺の美学を背負ったジャベールが癖になってしまったようです。そして岡さんの魅力は、その歌唱力と発音の明瞭さ。冒頭の釈放の場面でバルジャンを「強盗！」と罵っているのを、今更ながら自分の耳で確認しました。ジャベールって本当熱い刑事さんですねえ。

　で、以下腐女子的なこぼれ話を反転文字で。

　ココカラ→一緒に観たある方が、このジャベールがバルジャンを「盗人！」と罵る場面で、盗んだのはパンではなくてジャベールの心だった、と指摘されまして。カリオスト○の城かよ！と笑う反面、実際ミュージカルのジャベールときたら、一介の仮釈放人に「忘れるなよ、俺の名を」だし、やたら執拗にバルジャンだけを追い続け、格闘しながら聴かれてもいないのに自分の生い立ちをバルジャンに語り始めたりして、心奪われているのは確かだな、うまいことを言う！と思ってしまいました。それでさらに強盗……ジャベールの重い心の扉を怪力でこじ開けて強盗したバルジャン、何て素敵（笑）←ここまで。つくづくアホですみません。

●バルジャン

　おいおい、今頃主役かよ、と我ながら。まあ、バルジャンの感想はレミゼ全体の感想にも重なりますので、シメで。

　個人的な好みでは、やっぱり別所さんが最高！　父性愛にあふれ、罪人の意識を深く負い、敬虔に生きようとする姿。その存在感は、私にとってのレミゼそのものでした。

　２４６５３のオクターブ上げも私が観た回はきれいに決まっていて、快感でした。カーテンコールのお姫様抱っこも大好き。ちびコゼちゃんを抱き上げるのが、やっぱり微笑ましくて好き。

　それと、今井さんのバルジャン。もともと丁寧に演じている人だな、というのは感じていたのですが、レミコンでスクリーンで表情が大写しになると、改めてとても細かい演技をされていることに気づきました。舞台では確認できない表情を見られるのがいいところでしたね。

　さて、何か前半で激しく燃え尽きた感のある（苦笑）感想でしたが、ここまで。ズルズルダラダラ書きすぎましたね；毎日のようにレミコンに通えて、笑ったり泣いたりできた期間は本当〜に幸せでした。また年末に行けるのが今から楽しみです！

fin.