義経記を読みました 昨夜は創作もせずチャットにも行かず、何をしていたかと申しますと。 「義経記」（平凡社東洋文庫／佐藤謙三・小林弘邦訳／全２巻）を読み耽っておりました。９０日の長期貸し出しで、ＧＷにゆっくり読もうと思っていたのに……現代語訳とはいえ、一晩で読むなっつの。ノリは平家物語に近いですな。久々の乾いた文体に大喜び。こういう文章を解説つきでじっくり読める高校生、羨ましいぞ！と思いました。「古典への招待」また観ようかしら。放送時間帯が遅いから寝ちゃうんですけどね（オイ） さて本当は「五条義経記」つまり「五条霊戦記」の設定をベースにした芥子丸＆剛人版の義経記を書くつもりで（書くつもりらしいですよ、この人また。凝りもせずに歴史モノ。それもＨナシで。マジか〜〜〜。ははは）、勉強のためと少々堅い気持ちで読み始めたのですが、読み始めたら止まらない。自分の命を鷲掴みにしてブンブンぶんぶん振り回すような豪傑の世界は元々大好きですし（三国志好きですから）、プラス日本の古文には何ともはかない雰囲気（盛んなときでも常に終末が感じられるというか）、わびさびが漂い、キャラクターの描かれ方が色っぽい。各人、自分の抱いていたイメージとは全然違ったのですが（おかげで五条義経記の構想木っ端微塵です。完全な別物として再構築はしますけどね、しばらくは無理でしょう）、そんなもの通り越して惚れました！ ●義経：五条の芥子丸のルックスがイメージだったんですよ〜。実際、細く眉を引いた稚児姿や色白、紅唇なんて描写も出てくるのですが、性格がね（笑）豪快。基本的対人姿勢が戦闘的で、尊大で、仇討ちなんて止めなさいと諌めた人の家には火をつけちゃうし、野望に女を利用するタラシだし、そのくせおつむは単純明快のおバカ入っているし。失脚してからは甘えた本性丸出し、弁慶がいなけりゃ何も出来ないし。そのへんが、何とも可愛い。はっとするくらいやんちゃで正直で、弁慶とのコンビがこれほどラブリーとは思いませなんだ。 ちなみに、鵯越えの逆さ落しとか義経八艘飛びとか、戦闘的な見せ場は平家物語のほうに入っておりまして、義経記ではあっさり書き飛ばされていますのであしからず。むしろ平家から隠れていた幼年期と、頼朝に追いまわされた青年期で、義経逃亡記の様相を呈しております。 五条で言えば、芥子丸よりはやはり遮那王に近く、それよりも「火の鳥」にちらっと出てきた野ザルな義経がイメージは近いですね。ＪＵＮＥなＣＤブックの緑川ボイスの義経（マニア過ぎる例）なんか正反対でございましたわー。 ●弁慶：この人この人、この人面白いです！どんな苦境でも明るく賢く忠義を尽くし。基本的に乱暴な豪傑なんですが、妙に生活の智恵いっぱいで、機転が利く。義経の油断でピンチに陥るたびに「だから言ったでしょう」と言いながら、パニックに陥るでもなく尻拭いをして助けてやる。あんたはエライ、従者の鑑！ 絶体絶命の場面で他の者達が悲壮なムードなのに、弁慶にかまいたがる義経と、マイペースで相手する弁慶の、どこか間抜けた主従のやり取りがとにかく微笑ましい。定期的に爆笑してましたわ、私。とくに巻五「よし野法師判官を追かけ奉る事」の主従のやり取りには冗談ヌキに腹を抱えて笑い転げました。 五条で言うと、やっぱり弁慶ですかね。あの真面目そうな弁慶を、面倒見のよさそうな雰囲気を残してもっとおバカで豪快に。剛人だと、真面目すぎて思いつめすぎてダメです。おバカな主にはおバカな従者じゃなきゃ付き合えませんわー。 ……って私はいったいどんな義経記を書くつもりなのだろう(^^;？ ●静御前：もちっと強いイメージを持っていたのですが、意外とお姫様でした。しかしひどい目に遭っているな、この人。私が書くなら、色仕掛けかなんかで頼朝殺しに行きそうです。いや是非、殺しに行っていただきたい。殺せないまでも、身の毛のよだつ思いをさせてやりたいわー。義経には他に何十人も女がいて、しかも最期をともにした奥方は別人なので、余計に。 そういえばその昔サンデーで打ち切りになった（苦笑）漫画「ますらお」では、義経と一緒に旅をする強い女の子でございました。義経も弁慶も静も、少年漫画的な正々堂々だからひどい目に遭うのよ。レディコミまでは行かなくてもいいから、青年漫画くらいの悪知恵は欲しいところでしたな（変なたとえ） そしてラスト。相変わらずの乾いた文体なので、涙涙、とまでは参りませんでしたが、御簾を引き上げて義経をつくづくと眺めてから死地に赴く弁慶にはやられましたね。このあたりは主従ロマン……と書くと軽っちいですが、主従に美学を見る私には相当に感慨深く。いつか絶対書きたい！と誓った次第。 いつもよりもさらに散漫に書き散らした日記ですが、「義経記」抱腹絶倒に面白かったよー、ということで。この顛末の続きはいつか（本当にいつだ？）、五条義経記で。 |