ヨコシマな視点からの感想です。清らかな方はご注意ください。駒田さん、清らかなファンの皆様、こんなファンがついちゃってゴメンナサイ〜；

　キャットフードの見所は、何と行ってもジミーとその家にコソ泥に入ったヴィトの、丁丁発止のぶつかり合い。前半の取っ組み合いに始まり、ヴィトが縛られてからは探り合いと罵り合い、後半では絶妙のコンビプレイで来訪者にギャフンと言わせる破天荒な大騒ぎ。毎日すごい迫力で、大変見ごたえがありました。

　で……その、男同士のぶつかり合いにはヨコシマな見所もまた満載だったのでございます。

　何と言っても、ずーっと縛られたままのヴィト。何故だか流し台の上。うつ伏せにしてそれぞれ手首、ウエスト、足首を流し台の手すりに縛り付け、上半身は作業場に、下半身はシンクの中に膝を曲げて。

　……実はハルミでこういうの妄想していたんですよね；ハルミったらいい人の家ばっかり忍び込んでるけど、変態サディストの家に忍び込んだら、机とかにうつぶせに縛り付けられるよなあ〜、等と。何故うつ伏せかは、あー、ヨコシマな方向に想像してください。

　でさらに、「小便をしたい」ことを口実に縄を解いてもらおうと企んだところ、話がこじれてズボンを切り裂かれる始末。その後はずーっと、ヴィトは下半身裸でお尻丸出しでなのでございます。

　正面の席からだとお尻はほとんど見えませんが、それでも挑発して（笑）持ち上げるたびに「ああ、ふたつのお山がくっきりと……」大変な眺めになります。なおサイドの席からはずーっとお尻が視界に入っていて、お尻のてっぺんまで神経張り詰めて演技をしているのを堪能することができます。実際、お尻も演技のうちに入っているので、見えないのはもしかして損かもしれませんね。

　それにしても持ち上げサービスが過ぎるときは「ああ、後ろはともかく前が危ないっ；」とドギマギします。……一応Ｔバックを履いているらしい（いや、そこまでは私は確認しておりませんよ）ので万が一はないのですが。

　ちなみに正面の席からも、窓ガラスに映っているのがほぼ真後ろから見えまして、アングル的にはこちらのほうが危ないかもしれない；です。何を見ているんだか……。

　さてヴィトちゃん、魅せてくれるのはお尻だけではありません。

　駒田はじめという役者さんの魅力のひとつに、何と言っても表情豊かに輝く大きな目が上げられると思いますが、今回は縛られて身動きのできない役だけに、さらに威力倍増でした。縛られていきなり泣き出す目、本気で怯える目、助けてくれと懇願する目、悪だくみに抜け目なく輝く目、挑発する好戦的な目、マリファナにうっとり蕩ける目、思い出に潤む目、必死にすがる目、好きな人を見つめる真っ直ぐな目、幸せそうに微笑む澄んだ目。もう眼差しだけで、トロトロになってしまいます。

　そして体を固定された役者は、目に止まらず鼻腔や舌先までも使うのでした。ジミーの別れた彼女からの電話にやっているフリ（爆）の喘ぎ声を聞かせるというシーンがあるのですが、じーっとヴィトの顔を覗き込んでいた私は「どどどどどーしよー！」状態になりました。場面的には笑う場面なんですけどねえ、あの舌の動きを心の準備なしに見るのは心臓に良くないです、ハイ。

　このように、縛られながらも舌先からお尻のてっぺんまで表情豊かなヴィト「ちゃん」を、苛めまくるのが鶴見辰吾さん演じるジミーです。

　ジミーは、ヴィトとは裏腹に常にきちんとした服装。前半はシャツにＶネックカーディガンにジャケット、後半は黒のタキシードを、すらりとした痩身にまとい、端正な印象が逆に「普段温厚な人が人生行き詰まって狂気の沙汰にブチ切れた」様を引き立てます。平たく言って、サディスティック。縛り上げたヴィトの髪を引っつかみ、「おれはペットにヴィトを飼う」とキャットフードを食べさせ、ズボンを切り裂き、ダーツの的にし。かと思えばヴィトの口車に乗せられて手ずからタバコを吸わせてやったり、マリファナの回し吸いをしたり、ふと本来のお人よしが戻ってくるアンバランスがまた余計にヨコシマ。

　で、ヴィトがそれに素直に過敏に反応するわけです。……こうやって書くと、本当にスゴイお芝居だな。

　しかし見ている間はブラック方向にエキサイティングなので、まさかハートフルな結末が待ち構えているとは思えず、ラストでは「うわーん、やられたよぅ。完敗！」と爽やかな衝撃を受けるのでした。何度見ても（今回は本当に何度も見たわけですが）ハラハラしてワクワクして胸がキュンとして、最後には何とも幸せな気持ちに包まれましたねえ。しみじみ、いいお芝居でした。

　裏と言いつつ、最後はきれいに？まとめましたところで、終わります。